ふくい総合法律事務所 所長ブログ

このブログは、福井県福井市にある法律事務所の所長弁護士である小前田が日々の業務や勉強の中で得た知識や経験をシェアするためのものです。

一般民事系の法律事務所の生産性を測る数字②

 

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以前に、こんな記事を書きました。今日は、その話の続きです。

 

事務所経営においては、自分たちがやっている業務や仕事が、結果に結びついているかということを確認する必要があります。

この結果がよくなければ何かを変えていく必要があります。

 

法律事務所も、事業体であるので経営の結果は数字で出てきます。

 

 

僕が気にしている事務所経営における結果の数字はこのへんになります。

 

①弁護士1人あたりの売上

②所員1人あたりの売上

③営業利益率

 

以下で解説します。なお、出している数字については事務所の経営方針などによって大きく異なってきますので、あくまでも私の超個人的な見解に過ぎませんので、その点はあらかじめご了承をお願いいたします。

 

①弁護士1人あたりの売上

事務所の年間の売上全体を弁護士の人数で割った数字になります。

弁護士の生産性の高さを測る指標になります。

 

例えば、事務所の年間の売上全体が1億の事務所で、弁護士が4人であれば、

弁護士1人あたりの売上→2500万円ということになります。

 

個人的な感覚ですが、2000万円以上は欲しい、3000万円以上であれば優秀というイメージです。

 

 

②所員1人あたりの売上

事務所の年間の売上全体を所員(弁護士とスタッフの合計)の人数で割った数字になります。

所員(事務所全体)の生産性の高さを測る指標になります。

 

例えば、事務所の年間の売上全体が1億の事務所で、所員が8人(弁護士4人、スタッフ4人)であれば、

所員1人あたりの売上→1250万円ということになります。

 

個人的な感覚ですが、1000万円以上は欲しい、1500万円以上であれば優秀というイメージです。

 

③営業利益率

ここは、個人事務所と、法人化している事務所では違うところかと思います。

法人化した場合、代表等の社員弁護士の給料が役員報酬になるので、数字は大きく変わってきます。

ここでは、法人化している事務所を前提に記載します。

 

営業利益とは会社が本業の営業活動によって得た利益です。

 

ほとんどの法律事務所においては、リーガルサービスという原価がかからないものを提供しているわけなので、

・売上=粗利

がなりたちます。

 

また、

・粗利-販管費=営業利益

となります。

 

売上に占める営業利益の割合を表したものが営業利益率になります。

 

法律事務所では、粗利率が基本100%のため、他業種と比べて営業利益率を高くしやすいです。

 

例えば、売上1億円の事務所で、年間の販管費が9000万円の事務所があるとすると、営業利益は1000万円、営業利益率は10%ということになります。

 

個人的な感覚ですが、営業利益率は5%以上(できれば10%以上)は欲しい、15%以上であれば優秀というイメージです。

 

営業利益率を確認すると、売上と経費のバランスをチェックしたり、経費を使いすぎていないかという確認が出来ます。また、投資(人材や広告等)したものに対して効果を得られているかといった、効果の測定にも使えます。また、サービスの単価が適正かといったということも考えるきっかけになります。

なので、営業利益率が低い場合は、どこに原因があるのかということをしっかりと考え、改善していくことが肝要になります。

 

もちろん、事務所の人材をどんどん採用したり、ホームページを作ったり、事務所を移転したりして、攻めていく時期・投資していく時期については、営業利益が出ない(むしろ赤字になる)ということもあります。

 

ただし、ある程度、事務所として安定してきたら、きちんと営業利益を出して、税金も支払い、事務所に内部留保としてお金を貯めておいたほうがよいかと思います。

今回のコロナ禍のようなことはまたいつ起こるかということはわかりませんので、何かあったときに使えるお金というのは事務所に貯めておいたほうがよいです。

また、投資をする時期が来たときにも、そのお金を使っていくことができます。

 

なお、利益については、経常利益や、純利益などもありますが、法律事務所で、営業外収益(費用)や特別収益(費用)はそんなに発生しないので、私はそんなに気にしていません。

 

今日は、事務所経営における結果の数字の話をさせていただきました。