ふくい総合法律事務所 所長ブログ

このブログは、福井県福井市にある法律事務所の所長弁護士である小前田が日々の業務や勉強の中で得た知識や経験をシェアするためのものです。

生産性向上とは何かをやめること

最近、コロナショックの影響と思われますが、うちの事務所にも労働事件の相談が増えてきました。

 

あまり労働事件に関してはうちの事務所では情報発信していないのに、労働事件の相談がそれなりにくるということは、今回の騒動で労働問題が増加しているのかと思います。

 

うちの事務所に来る相談の内容は様々です。ただ、話を聞いてみると、きちんと残業代が支払われている会社というのは多くなく、残業代が一つの争点になるというケースは多いです。

 

経営者にとっては、残業代については事前の対策が重要です。残業代を請求されてから出来ることは正直多くありません。

そこで、残業代の事前の対策としてよく言われる生産性の向上について話をしたいと思います。

 

結論としては、生産性向上のためには、「何かをやめる」ということが重要になります。

 

1.経営者にとっての残業代のリスクは高まっている

残業代については、経営者としてもきちんとリスクを認識しなければいけません。

 

もともと残業代のリスクは高いですが、それが最近高まることになりました。

民法改正の影響を受け、残業代の時効が2年から「3年」へと延長されることになりました。

残業代の時効が3年に延長されるのは、2020年4月からです。

今後、この時効が5年に延長されるという可能性もあります。

 

これまで、残業代を請求されても2年分を支払えばよかったのですが、今後は3年分を支払わないといけなくなり、残業代を請求された場合、単純にこれまでの1.5倍の支払いをしなければいけなくなる可能性があるということです。

 

そのため、経営者側としては、残業代を請求されるリスクが高まってきていることを理解し、そのため残業代をきちんと払う、もしくは残業自体を無くすということをしていく必要があります。

 

実際問題として、残業代をきちんと支払うというのは経営的に難しいということも多いと思いますので、今日は残業自体を無くしていくための話をします。

 

2.残業対策としての生産性向上

残業自体を無くしていくためによくいわれるのが、『生産性向上』という話です。

 

残業を減らすために、単純に労働時間を減らしただけでは意味がありません。その結果、会社に利益が残らず赤字になり、会社が倒産し、労働者は仕事を失うというのでは目も当てられません。

 

労働時間を減らしつつ、会社に利益をきちんと残すこと、それが生産性の向上になります。

 

生産性の向上というと、目の前の仕事をいかに効率的にこなしていくかという文脈で語られることも多いです。

もちろん、それも大事なのですが、それで削減できる時間というのは大したことがありません。

また、無駄な仕事を効率的にこなしていったとしても、結果には反映されません。

 

3.生産性向上とは何かをやめること

ですので、まず生産性向上のためには、その仕事が本当に必要な仕事なのか無駄な仕事なのかを判断して、無駄なものを躊躇なくやめていくということが大事になります。

ここに関しては、経営サイドで主導してやっていかないと難しいかと思います。

 

無駄な仕事というのはこれまでの惰性でやってきたような仕事です。

そういった仕事をゼロベースで見直す必要があります。

 

例えば、

・会議

・報告書などの書類作成

・時間を取られるが利益を生み出していない顧客との取引

・採算のとれていない事業

 

そういった仕事を見返して、価値を生み出していない仕事については、思い切ってやめてしまうということが必要になります。それによって、労働時間を削減できるといえます。

やめることにあたってはいろんな人間関係のしがらみがあるかと思いますが、ここに踏み込んでいくのが経営者の仕事になります。

特に、現在のコロナショックが起きている現状としては、逆に思い切った行動が取りやすいのでチャンスかと思います。

 

うちの事務所でやった取り組みとしては以下のようなものがあります。

・私が出席していた団体への参加

・不採算となる事件分野からの撤退

 

うちの事務所でも生産性向上のため、何かをやめていくという取り組みに関しては、続けていきたいと思います。