1.ZOOMの活用について
新型コロナウイルスの影響で、最近、ZOOMによる打ち合わせは増えています。
※ZOOM
https://zoom.us/jp-jp/meetings.html
使い方も簡単だし、法律相談や打ち合わせに活用できると考え、事務所でもZOOMによる法律相談を実施していこうと準備中です。すでに何件かは実施しています。
相談者はPCがなくても、スマホやタブレットがあれば、ZOOMを使うことはできるので、取り入れやすいツールかと思います。
今後は、ホームページにもZOOM相談が可能ということをきちんと表示して、相談者にもZOOMでの法律相談が可能ということをお伝えしたいと思っています。
新型コロナウイルスの感染防止という観点からすれば、ZOOMの活用は、依頼者にも、法律事務所にもメリットが大きいと考えています。
依頼者からすれば弁護士に相談にいかなければならないというのは人生の一大事ということも多いです。
外出自粛で弁護士に相談できないということであれば、法の助力を受けられないということになりかねず、泣き寝入りを強いられかねないです。外出自粛のため、法律事務所や弁護士へのアクセスができないというのは非常に問題です。
他方、弁護士サイドで考えても、外出自粛の影響で、事務所への新規の問い合わせは減っています。HP等でZOOMや電話で法律相談が出来ることをきちんとお伝えして、ZOOMでの法律相談を案内することで、依頼者のニーズにも対応することができると思います。
2.債務整理事件における弁護士の面談義務に注意が必要
ZOOMでの法律相談を実施する場合、特に注意が必要になってくるのは債務整理事件だと思います。
債務整理に関しては、債務整理事件処理の規律を定める規程第3条に弁護士の「面談義務」が定められています。
原則として、受任する弁護士が自ら個別面談をして、事件の依頼主の事情を聴かなければなりません。
※債務整理事件処理の規律を定める規程(日弁連HP)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/pdf/kaiki/kaiki_no_93_160606.pdf
そのため、ZOOMで債務整理の法律相談を行った際、相談者がその弁護士に仕事の依頼したいという場合でも、原則として、郵送だけで書面のやりとりをして受任をするということはできないということになります。
ZOOMでの法律相談から受任をする場合には、ZOOMでの法律相談を行った後、原則として、相談者にどこかのタイミングで事務所に来てもらって、受任弁護士が面談を行ったうえで、受任をしなければいけないということです。
うちの事務所でも、ZOOMでの法律相談をした後に、その方の事件を受任をする場合には、債務整理に限らず、一度は事務所に来ていただいて、弁護士と面談をしてもらった上で受任をしたいと考えています。
やはり実際に面談を行うことで、本人確認を行うことができることに加えて、事件の処理方針を正確に伝えられたり、本人の要望ををきちんと把握できるのは大きいと考えています。
ただし、基礎疾患がある方や高齢の方で、新型コロナウイルスの感染リスクが高い方については、事務所に来ていただく負担が大きく、どのように対応するかは難しいところです。
上記規定第3条1項但書には、
『ただし、面談することに困難な特段の事情があるときは、当該事情がやんだ後速やかに、自ら面談』
をすればよいとされています。
今回の新型コロナウイルスの緊急事態宣言による外出自粛要請が、『面談することに困難な特段の事情』に当たるのは間違いがないかと思います。
また、債務整理事件の場合ですと、早急に弁護士から債権者に受任通知を送って、債権者の取立てをやめさせる必要がある事件もあります。
ですので、規定第3条1項但書を使って、ZOOMの法律相談から、郵送で書面のやりとりをして受任を行い、事件に着手をしていかないといけない場合はそれなりにあるのではないかと考えられます。
ただし、規定第3条1項但書を使う場合でも、できるだけ早いタイミングで(もちろん新型コロナウイルスの感染状況を確認してにはなりますが)、事務所に来てもらうか、もしくは弁護士が依頼者に会いに行くかして面談は行わなければなりません。
いずれにしても、 債務整理事件についてZOOMでの法律相談を行う場合は、面談義務に注意を払う必要があります。
3.まとめ
今後、新型コロナウイルスの影響で、失業や会社の倒産が増えてきた場合、弁護士に債務整理をお願いしたいという方も増えてきます。
そのときに、弁護士や法律事務所へのアクセスを確保しておくだけでなく、迅速に仕事を依頼できる体制も構築しないといけません。
うちの事務所でもそういった体制が構築できるようにしていきたいと思います。