弁護士といえども、必要以上に攻撃的な言葉はいらない。
つい、先日、このようなニュースが報道された。
『金沢弁護士会は27日、裁判所に提出した書面で「判決は、草野球以下。当然取り消されるべきだ」など不適切な主張を繰り返したとして、同会に所属する井上孝一弁護士を業務停止1カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は26日付。
処分理由によると、井上弁護士は2016年4月に裁判所に提出した損害賠償請求訴訟の控訴理由書で金沢簡裁の判決について、野球を引き合いに「ワンバウンド捕球でも直接捕球と言ったら信頼関係でアウトにする。そんなこと草野球でもしない。社内懇親会のようだ」と批判した。』
((共同通信)-Yahoo!ニュース・2018/12/27(木) 19:51配信)
私見ではあるが、弁護士が裁判において必要以上に攻撃的な言葉を述べる必要は無い。
弁護士は、ドラマ(ex.リーガルハイ、suit)とかを見ているとやたら口汚らしく、相手を罵ったり皮肉を述べたり攻撃をしたりする。世間の弁護士のイメージというのは、こういう攻撃的なものなのかもしれない。
しかし、弁護士の仕事と言うのは、相手を攻撃すると言うのが仕事ではない。あくまでも、紛争を解決したり、紛争が起きないように予防することである。
もちろん、予防や紛争解決のための、ある意味で相手を攻撃する(ex.相手の行為が違法であること、不誠実であること、法的な手続をほのめかすこと等)こともある。しかし、攻撃はあくまでも問題解決のための1つのオプションに過ぎない。
デールカーネギーの本「人を動かす」にも、「 盗人にも五分の理を認める」ことが人を動かすための重要な原則であると述べているように、人にはプライドがあるため、必要以上に攻撃をしたといったからといって、こちらの思うように動いてくれるわけではない。
相手の感情に配慮をしつつ、行動をしていかなければ、相手は動いてくれないのだ。
相手を攻撃ばかりしていても相手の感情を害するばかりで、かえって紛争が激化してしまうこともある。
私が経験した事件でも、裁判所から和解案を示されており、それは合理的で、依頼者にとっても有利なものであった。依頼者としても、頭では受け入れるべきとわかっているが、相手方代理人弁護士のもそれまでの依頼者に対する攻撃にかなり腹を立てていたため、和解に非常に難色をしてしていたという事例もある。
また、私が修習生時代に教えてもらった裁判官からは、必要以上に攻撃的な書面については、評価が低いともと述べていた。
そのため、弁護士が法律論がわかっているのは当然であるか、紛争解決するという視点からすると、依頼者様相手方その他の利害関係者の感情を無視して物事をすすめることはできないのだ。
法律論に沿った解決するだけであるならば弁護士など不要であり、そのような弁護士は近い未来、すぐにAIにとって変わられるであろう。
弁護士は依頼者や相手方の感情をフォーカスして、物事を解決することが大事だ。
先日のニュースを見て、あらためて弁護士とはいえども、必要以上に攻撃的な言葉はいらないということを再認識させられた。